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aligno 高額療養費シミュレーター 国民健康保険と傷病手当金

国民健康保険に、傷病手当金はほぼ無い

自営業・フリーランスが病気で働けなくなったとき、治療中の収入補填は原則としてゼロです。 会社員なら給与のおよそ3分の2が最長1年6か月支給される。同じ病気でも、家計の削られ方がまったく違います。

公開:2026年9月2日 更新:2026年9月15日(退職直後の扱いを追記・見出しの表現を修正) 制度データ最終確認:2026年9月14日 出典:厚生労働省/全国健康保険協会/日本年金機構
この記事でわかること
  1. 同じ病気で、いくら差がつくのか
  2. 傷病手当金とは何か(会社員側の制度)
  3. なぜ国民健康保険では出ないのか
  4. 退職した直後は、どうなるか
  5. 高額療養費では埋まらない理由
  6. 1年6か月を過ぎたあと、もう一段の差がある
  7. 自営業側で取れる手だて

1. 同じ病気で、いくら差がつくのか

月収30万円の人が、病気で6か月間まったく働けなくなったとします。 医療費は月40万円(10割)、そのうち5日入院。この条件を、加入している保険だけ変えて計算します。

6か月の療養で家計から失われる額(医療費の自己負担+保険対象外の実費+収入の減少)

会社員(健康保険)1,063,461円

傷病手当金 1,180,059円(日額6,667円 × 177日)が支給される

自営業(国民健康保険)2,243,520円

傷病手当金は0円。失われた収入をそのまま貯蓄などから補うことになる

差は 1,180,059円。ここで重要なのは、 医療費も、高額療養費が適用されたあとの自己負担額も、1円まで同じだということです。 差はすべて傷病手当金であって、医療費の制度による差ではありません。

6か月の合計会社員自営業
医療費(10割)2,400,000円2,400,000円
高額療養費適用後の自己負担394,020円394,020円
入院時の食事代(高額療養費の対象外)49,500円49,500円
失われた給与・事業収入1,800,000円1,800,000円
傷病手当金+1,180,059円0円
家計から失われる額1,063,461円2,243,520円

2. 傷病手当金とは何か

健康保険(協会けんぽ・健康保険組合)の被保険者が、業務外の病気やけがで働けなくなったときに支給される給付です。 金額は次のように決まります。

1日あたりの支給額
支給開始日以前の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額 ÷ 30 × 2/3

月収30万円であれば、300,000 ÷ 30 = 10,000円(10円未満四捨五入)に3分の2を掛けて 日額6,667円。1か月あたりおよそ20万円です。 給与の全額ではなく、3分の2である点に注意してください。

そのほか、実務上つまずきやすい要件が4つあります。

3. なぜ国民健康保険では出ないのか

国民健康保険法第58条第2項で、傷病手当金は「任意給付」と定められています。 保険者(市区町村など)が条例で定めれば支給できる、という位置づけです。

「国保に傷病手当金は存在しない」という説明は正確ではありません。 制度としては存在し、条例で定めれば支給できます。ただし市町村国保で実施している例はほとんどなく、 実質的にはゼロとして家計を考えるのが現実的です。 お住まいの自治体の条例は、市区町村の国民健康保険の窓口で確認できます。

なお、新型コロナウイルスの感染拡大期には、国が財政支援を行うかたちで 多くの市区町村が期間限定の傷病手当金を設けていました。これは特例的な措置であり、 現在も同じ扱いが続いているわけではありません。

4. 退職した直後は、どうなるか

ここまでは「会社員」と「自営業」を、別々の状態として比べてきました。 実際に多いのは、そのあいだにいる人です。会社を辞めて次が決まっていない、 あるいは独立したばかり。このとき何が起きるかを、先に書いておきます。

退職後の健康保険には3つの選択肢があります。協会けんぽ自身が 「毎月納める保険料などを比較の上、選択された健康保険にお手続ください」と案内しているとおり、 この3択はふつう保険料の高い安いで比較されます。 しかし傷病手当金という観点で並べると、3つに差はありません。

退職後の選択肢退職後に発生した病気・ケガでの傷病手当金
健康保険の任意継続出ない
国民健康保険原則出ない(法第58条第2項の任意給付)
家族の健康保険(被扶養者)出ない(被保険者ではないため、そもそも対象外)

とくに誤解が多いのが任意継続です。「健康保険を継続する」という名前から、 在職中と同じ給付が続くように見えます。実際、医療機関の窓口負担も高額療養費も在職中と同じです。 しかし協会けんぽは、こう明記しています。

任意継続被保険者である期間中に発生した病気・ケガについては、傷病手当金は支給されません。

つまり退職した時点で、働けなくなったときの収入の補填は、どれを選んでも無くなります。 保険料を比べて安いほうを選ぶという判断は、この前提の上でするものです。

ひとつだけ例外があります(資格喪失後の継続給付)。 退職から受けている場合に限り、退職後も引き続き受けられます。条件は次のとおりです。

3つ目が厳しい条件です。協会けんぽは「一旦仕事に就くことできる状態になった場合、 その後更に仕事に就くことができない状態になっても、傷病手当金は支給されません」と書いています。 一度でも働ける状態になったと判断されると、そこで終わりで、あとから復活しません。

裏返すと、退職日をいつにするかで結果が変わります。 療養が必要な状態で退職を考えている場合、被保険者期間が1年に届いているか、 退職日の前日の時点で条件を満たしているかは、退職してしまう前に確認する価値があります。 判断に迷う場合は、加入先の協会けんぽ支部または健康保険組合にご確認ください。

なお、このシミュレーターで「自営業(国民健康保険)」を選んだときの結果は、 退職後にこの例外へ当てはまらない人の家計と、ほぼ同じ形になります。

5. 高額療養費では埋まらない

「高額療養費があるから大丈夫」という説明をよく見かけます。しかし高額療養費は 出ていくお金の上限を決める制度であって、 入ってこなくなるお金には一切関与しません。

上の例で言えば、高額療養費が抑えているのは自己負担394,020円の部分だけです (窓口3割なら月12万円のところ、月86,940円が上限。4か月目からは多数回該当で44,400円に下がります)。 失われた収入1,800,000円には、この制度は届きません。 そして自営業には、その穴を埋める傷病手当金もない。 ここが、医療費だけを計算するツールでは見えない部分です。

さらに、入院時の食事代(2026年6月から1食550円)や差額ベッド代は、 そもそも高額療養費の対象外です。詳しくは シミュレーターで、ご自身の条件で確認できます。

6. 1年6か月を過ぎたあと、もう一段の差がある

傷病手当金の上限は通算1年6か月です。そして障害年金の 障害認定日も、初診日から1年6か月経過した日と定められています。 会社員は、この1年6か月を傷病手当金でつないでから障害年金に接続する設計になっています。 自営業には、そのつなぎがありません。

さらに、接続先の年金にも差があります。

加入している年金受けられる障害年金等級
厚生年金(会社員)障害厚生年金+障害基礎年金1級・2級・3級・障害手当金
国民年金(自営業)障害基礎年金のみ1級・2級のみ(3級なし)

障害基礎年金に3級はありません。つまり、会社員なら障害厚生年金3級で拾われる状態でも、 自営業では給付がゼロになる範囲が存在します。 18か月まで療養が続いた場合、傷病手当金の差だけで 3,580,179円(月収30万円の場合)に広がります。

参考までに、障害基礎年金の額は令和8年度で1級 1,059,125円、2級 847,300円(いずれも年額、昭和31年4月2日以後生まれ)です。 受給には保険料の納付要件があり、未納があると障害の状態にかかわらず受け取れません。

7. 自営業側で取れる手だて

この記事は特定の商品を勧めるものではありません。事実として選択肢を並べます。 どれが適切かは状況によるため、判断は専門家か各窓口にご確認ください。

自分の条件で計算する 年収・働けない期間・入院日数を選ぶと、医療費の自己負担・保険対象外の実費・収入の減少をまとめて計算します。 会社員と自営業の両方が同時に表示されます。無料・登録不要で、入力内容はどこにも送信されません。

参照した一次情報

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4か月目から自己負担限度額が下がる仕組み。ただし転職・退職・被扶養者になると、それまでの月数は通算されません。6か月で97,080円の差。

入院時の食事代は、高額療養費の対象外

1食550円。30日で49,500円が上限とは別にかかります。住民税非課税世帯の減額には認定証が必要で、出していないと医療費の自己負担より高くなります。

差額ベッド代は、同意書に署名しなければ請求できない

全国平均は1日6,714円、個室なら8,437円で、高額療養費の対象外。ただし厚生労働省の通知は、請求してはならない場合を3つ明記しています。

本記事の金額は概算です。実際の支給額は、標準報酬月額の実績、休業日数の数え方、 加入している保険者の判断によって変わります。 最終的な金額は必ず、加入先の健康保険組合・協会けんぽ・お住まいの市区町村・年金事務所にご確認ください。