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自立支援医療の自己負担は、月いくらになるか
精神科への通院や、人工透析などの障害を軽くする治療が続くと、窓口3割の支払いが毎月かかります。 自立支援医療を申請すると、指定された医療機関での自己負担が1割になり、さらに所得に応じた月の上限がつきます。 このページでは、住民税の区分から自分の上限額を判定し、3割とくらべて1年でいくら軽くなるかを計算します。 上限が下がる「重度かつ継続」に当たるか、2027年3月末に期限が来る経過的特例と、2026年10月に厚生労働省が出した延長の案も確かめられます。
1. 何が軽くなるのか
自立支援医療は、障害者総合支援法にもとづく公費負担医療です。対象は3つに分かれます。
| 種類 | 対象 | 実施する自治体 | 支給決定件数(令和6年度) |
|---|---|---|---|
| 精神通院医療 | 精神疾患(てんかんを含む)で、通院による精神医療を続ける必要がある人 | 都道府県・指定都市 | 2,666,159件 |
| 更生医療 | 身体障害者手帳を持つ18歳以上で、手術などの治療で確実に効果が期待できる人(例:人工透析、ペースメーカー、人工関節) | 市町村 | 294,191件 |
| 育成医療 | 身体に障害のある18歳未満の児童で、手術などの治療で確実に効果が期待できる人 | 市町村 | 10,884件 |
件数がいちばん多いのは精神通院医療で、令和6年度は2,666,159件でした(社会保障審議会障害者部会 第160回(令和8年10月20日)資料3)。 仕組みは「保険が先」です。厚生労働省は「保険優先のため、通常、医療保険の自己負担分(3割)と上記の自己負担上限額の差額分を自立支援医療費により支給」と説明しています。 つまり、医療保険で7割が払われたあと、残りの3割のうち、本人の負担(1割か上限額)を超える部分を自立支援医療が払います。
ひと月の医療費が7,000円、医療保険による自己負担が2,100円の場合、本制度により、自己負担を700円に軽減します。(厚生労働省「自立支援医療(精神通院医療)について」)
2. 自分の所得区分と、月の上限額
上限額は、本人だけでなく「同じ医療保険に入っている家族」をひとつの世帯として、住民税(市町村民税)で決まります。会社員の扶養に入っている人なら、保険の本人(被保険者)の住民税も見ます。種類と住民税の区分を選ぶと、所得区分と月の上限額を返します。
選んだ内容はこのページの中だけで使われ、どこにも送信されません。サイト共通の計算エンジンと制度データで計算します。
全体の表は次のとおりです。
| 所得区分 | 条件(医療保険の世帯単位) | 精神通院医療・更生医療 | 育成医療 | 重度かつ継続 |
|---|---|---|---|---|
| 生活保護 | 生活保護世帯 | 0円 | 0円 | 0円 |
| 低所得1 | 市町村民税非課税(本人又は障害児の保護者の年収82.65万円以下) | 2,500円 | 2,500円 | 2,500円 |
| 低所得2 | 市町村民税非課税(低所得1を除く) | 5,000円 | 5,000円 | 5,000円 |
| 中間所得1 | 市町村民税所得割 33,000円未満(年収約290〜400万円未満) | 1割(上限は高額療養費の限度額) | 5,000円 | 5,000円 |
| 中間所得2 | 市町村民税所得割 33,000円以上235,000円未満(年収:約400〜833万円未満) | 1割(上限は高額療養費の限度額) | 10,000円 | 10,000円 |
| 一定所得以上 | 市町村民税所得割 235,000円以上(年収約833万円以上) | 対象外 | 対象外 | 20,000円 |
出典:厚生労働省「自立支援医療の患者負担の基本的な枠組み」。年収は目安で、「年収については、夫婦+障害者である子の3人世帯の粗い試算」です。月の総医療費の1割が上限額より少ない月は、1割を払います。
低所得1の年収の基準は、2026年7月から82.65万円以下になりました(それまでは80.9万円以下、制度ができたときは80万円以下)。 厚生労働省は理由を「令和7年の障害基礎年金2級の支給額が約826,500円/年となり、80万9千円を超えたことから」としています。 障害基礎年金2級だけで暮らしている人が、年金の改定で低所得2に移らないようにするための見直しです。 ここでいう年収は「自立支援医療等のあった月が1-6月の場合は前々年、7-12月の場合は前年の公的年金等の収入金額、合計所得金額等の合計額」です。
3. 3割とくらべて、いくら軽くなるか
今、窓口で払っている1か月の額(3割)と、所得区分を選んでください。自立支援医療で払う額と、1か月・1年で軽くなる額を計算します。
選んだ内容はこのページの中だけで使われ、どこにも送信されません。サイト共通の計算エンジンと制度データで計算します。
総医療費ごとの早見表です。
| 1か月の総医療費(10割) | 3割(自立支援医療なし) | 1割(中間所得/一定所得以上で重度かつ継続) | 上限1万円(中間所得2で重度かつ継続) | 上限5,000円(中間所得1で重度かつ継続・低所得2) | 上限2,500円(低所得1) |
|---|---|---|---|---|---|
| 10,000円 | 3,000円 | 1,000円 | 1,000円 | 1,000円 | 1,000円 |
| 20,000円 | 6,000円 | 2,000円 | 2,000円 | 2,000円 | 2,000円 |
| 30,000円 | 9,000円 | 3,000円 | 3,000円 | 3,000円 | 2,500円 |
| 50,000円 | 15,000円 | 5,000円 | 5,000円 | 5,000円 | 2,500円 |
| 100,000円 | 30,000円 | 10,000円 | 10,000円 | 5,000円 | 2,500円 |
| 200,000円 | 60,000円 | 20,000円 | 10,000円 | 5,000円 | 2,500円 |
たとえば総医療費が月30,000円の通院なら、窓口3割は9,000円、自立支援医療の1割は3,000円で、 1か月6,000円、1年(12か月)で72,000円軽くなります。上限のある区分では、総医療費が増えても上限より上は払いません。
「1割」の列は上限なしで計算しています。中間所得で重度かつ継続に当たらない人の上限は高額療養費の自己負担限度額で、 区分ウ(標準報酬月額28万〜50万円)なら、1割が限度額を超えるのは総医療費が月およそ93万円を超えるときです。表の数字は制度データから計算しています。
4. 「重度かつ継続」に当たるか
費用が高額な治療を長く続けなければならない人は「重度かつ継続」として、住民税が課税されている世帯でも上限額が別に決まります。病名だけでなく、医師の判断や、高額療養費の多数回該当でも当てはまります。種類と状況を選ぶと、当たるかどうかと、上限がどう変わるかを返します。
選んだ内容はこのページの中だけで使われ、どこにも送信されません。サイト共通の計算エンジンと制度データで計算します。
5. 対象になる医療・ならない医療
精神通院医療で1割になるのは、指定を受けた医療機関・薬局での、精神障害やそれに起因する病態の通院医療です。かかる医療を選ぶと、対象になるかを返します。
選んだ内容はこのページの中だけで使われ、どこにも送信されません。サイト共通の計算エンジンと制度データで計算します。
6. 2027年3月末の経過的特例と、延長の案
表のうち「育成医療の中間所得1・2」(5,000円・1万円)と「重度かつ継続の一定所得以上」(2万円)は、恒久の制度ではなく経過的特例です。 厚生労働省は「「重度かつ継続の一定所得以上」及び「育成医療の中間所得」の区分については、令和6年3月31日までの経過的特例とされていましたが、令和9年3月31日まで延長いたしました。」としています。 特例がなくなると、一定所得以上の人は重度かつ継続でも制度の対象外(医療保険の3割)に戻ります。
2026年10月20日の社会保障審議会障害者部会に、厚生労働省はこの特例について「以下の現状を踏まえ、自立支援医療の経過的特例措置については、令和12年3月末まで延長することとしてはどうか。」という対応案を出しました。 資料によると、重度かつ継続の一定所得以上の支給決定件数は令和6年度に132,392件(うち精神通院医療120,541件)で、 平成18年度の78,813件から増えています。 2026年10月27日時点では案の段階で、延長は決まっていません。決まったら、このページの判定を直します。
7. 申請と更新
- 申請は、住んでいる市町村の担当窓口です(障害福祉課や保健福祉課が担当することが多い)
- 必要なものは、申請書、医師の診断書、同じ医療保険の世帯の所得がわかる資料(課税証明書など)、健康保険の資格がわかるもの、マイナンバーの確認書類などです。自治体によって違います
- 診断書を書けるのも、指定自立支援医療機関の医師です
- 認められると「自立支援医療受給者証」が出ます。受診のたびに、受給者証と自己負担上限額管理票を医療機関に出します
- 有効期間は1年以内です。続けるなら更新が必要で、更新の申請はおおむね有効期間が終わる3か月前から受け付けます。病態や治療方針が変わらなければ、2回に1回は診断書を省略できます
本制度による医療費の軽減が受けられるのは、各都道府県又は指定都市が指定した「指定自立支援医療機関」(病院・診療所、薬局、訪問看護ステーション)で、受給者証に記載されたものに限られています。
8. 高額療養費・傷病手当金との関係
自立支援医療は、高額療養費と同じ医療保険の仕組みの上にのっています。 高額療養費の支給を直近12か月で3回以上受けた人(多数回該当)は、病名にかかわらず「重度かつ継続」に当たります。 人工透析は、医療保険の特定疾病の対象で、身体障害者手帳を持つ人は更生医療の対象にもなり得ます(厚生労働省の資料は、更生医療の対象となる医療の例に人工透析を挙げています)。 両方を使ったときの窓口の額は、受給者証を出す市町村で確かめてください。 指定難病と診断された人には、別の公費負担医療として指定難病の医療費助成(窓口2割・上限0円〜3万円)があります。
治療のために仕事を休むなら、医療費とは別に、収入が減る側の制度があります。会社員の健康保険なら傷病手当金が出ますが、 国民健康保険には、傷病手当金はほぼありません。
9. この計算の前提
- 70歳未満で、医療保険の窓口負担が3割の人として計算しています
- 「1か月の総医療費」は、窓口3割の額を0.3で割った額とみなしています
- 自立支援医療の対象になる医療(指定医療機関での、対象の病気の通院など)だけの額です。対象外の医療は3割のままです
- 中間所得で重度かつ継続に当たらない人の上限は、高額療養費の自己負担限度額を区分ウとして計算しています
- 入院時の食事代、保険外の費用は含めていません
- 上限額は2026年10月27日時点の制度です。経過的特例は2027年3月31日までとして判定しています
参照した一次情報
- 厚生労働省「自立支援医療制度の概要」(対象者・経過的特例の延長)
- 厚生労働省「自立支援医療の患者負担の基本的な枠組み」(所得区分・自己負担上限月額・重度かつ継続の範囲)
- 厚生労働省「自立支援医療(精神通院医療)について」(対象の医療・対象外・世帯・手続き・有効期間・指定医療機関)
- 厚生労働省・こども家庭庁「自立支援医療等における利用者負担区分の見直しについて」(令和8年1月19日 社会保障審議会障害者部会 参考資料8)(低所得1の年収基準)
- 厚生労働省「自立支援医療の経過的特例措置について」(令和8年10月20日 社会保障審議会障害者部会 資料3)(制度の概要・支給決定件数・延長の対応案)
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